第三章 満月
正木ふゆみの名前
あるところに四人の家族がいました
お金はあまりなかったけれど若い夫婦二人で
ローンを組んでツーバイフォーのガーデンハウスを買いました
この木の家には優しいけど亭主関白な「正さん」と
気が強い奥さんの「ふーさん」
かわいい娘が二人
「ゆーみん」と「みっきー」が住みました
優しくて亭主関白な正さんは四十五歳のとき
父や夫としてわずか十九年間で
遠くに逝きました
ふーさんは文字を書きたくなってペンネームを考えました四人の家族の証しに大切な家族の名前を一字ずつ拾いました
「夫の正」「ローンで買った木の家」「当人のふーさん」
長女の「ゆーみん」 次女の「みっきー」
全部足すと「正木ふゆみ」になりました
家族がいつも一緒にいる名前です