二 午前…… 十一時三十分 ドリームアイ乗車
何とか凛を説得し、仲山はファストパス用の優先列に並んだ。
午前十一時台のグループだ。二人の前にはカップルや学生達の姿が見える。仲山と凛が列につき、その後ろには品のよさそうなお年寄りが続く。更にその後ろには夫婦と思われる二人組が並んだ。
ドリームランドの象徴ともいえる日本最大級の展望型巨大観覧車『ドリームアイ』。
その立ち姿は勇ましく神々しい、まさにランドマークというに相応しいものだ。その巨大観覧車の中心にはドリームランドのシンボルである矢印に見立てたマークがある。
乗ることができなくても、この観覧車を一目見ようと人々は周囲に集まり、望遠のある一眼レフカメラやスマートフォンで写真を撮っている。その光景はクリスマスイヴらしい幸せに溢れていた。
観覧車からの絶景を楽しみに、誰もが嬉しそうに列に並ぶ。どうやら今は抽選でチケットを当てた乗客が優先される時間帯らしい。女性スタッフがチケットを確認し、それぞれの組をゴンドラに振り分けているようだった。
ドリームアイは、ゴンドラの数を厳げん選せんしている。一時間で一周するのに乗れるのは十二組だけ。つまり五分に一組しか乗れないのだ。その理由は、一つ一つのゴンドラからの見晴らしを意識した贅ぜい沢たくな造りにある。反面、乗客の回転率は悪く、列の最後尾はいつも見えないほどだ。
しかし仲山の予想通り、夢のチケットを事前購入できていたことで、とてもスムーズに順番がやってきた。