小説 小説 社会問題 2023.03.26 【小説】『円い町』は「健常者と精神障がい者との区別が全くない」 近づく果実 【第1回】 鈴木 寂静 健常者も障がい者も一人残らず、誰もが共生できる自由で幸福な町とは――。 この記事の連載一覧 次回の記事へ 最新 健常者も障がい者も一人残らず、誰もが共生できる自由で幸福な町の物語。営業の仕事がうまくいかず精神科の門を叩いた晴美。ある日父から、精神障がい者を「善常者」と呼び、健常者と区別なく暮らしている「円い町」へ行くことを勧められる。だが、町に住むためには4つの条件をクリアする必要があった......。※本記事は、鈴木寂静氏の小説『近づく果実 ~円い町と青い町~』(幻冬舎ルネッサンス)より、一部抜粋・編集したものです。 生の素顔 郷山が 深緑の生き生きした姿を 曝け出す 更に抱き込むように 四国山脈が聳え立つ その山肌には 灰白色の雪が彫刻刀で切り裂いたように 鋭く張り付く 嗚呼 何という生の素顔だ
小説 『余白』 【第9回】 山本 実咲 結婚後発覚したカードローンやら何やらが、もう増えていないことを願う。額は増えていてもいいけど、せめてローン会社の数は… 【前回の記事を読む】「一人で全部育児をする。だからどうか子どもを産んでほしい」――しかし夫は家事も育児せず、これまで以上に「子ども」になった結婚前には突然右脚のふくらはぎに割と大きな柄のタトゥーを二つ入れた。何度見ても何を表現しているのか分からず、それが何なのか何度聞いても忘れてしまうのだが、夏になると毎年、せっかくだから短パンを履けばいいのに、となぜか感じてしまう。タトゥーを入れる日、私は仕事…
小説 『愛[注目連載ピックアップ]』 【第20回】 高見 純代 「セックスには相性がある」——彼は「僕らは相性がいいかもしれないな」と言ったが決して抱こうとはしてくれなかった 【前回の記事を読む】「愛してる」と言いながら、彼は私を抱いてくれない。唇にキスもしない。——私は、処女だと告げたことを後悔したBGM流れて、私は少しリラックスした。絵を描く彼は、別人のように寡黙だった。曲が変わり、『ストレンジャー』になった。それが終わり『ピアノ・マン』が流れだした時、彼が英語で一緒に歌いだした。英語の発音もよく、歌も上手だった。「貴方、歌手にもなれてよ」「モデルは黙ってて。僕は…