小説 小説 社会問題 2023.03.26 【小説】『円い町』は「健常者と精神障がい者との区別が全くない」 近づく果実 【第1回】 鈴木 寂静 健常者も障がい者も一人残らず、誰もが共生できる自由で幸福な町とは――。 この記事の連載一覧 次回の記事へ 最新 健常者も障がい者も一人残らず、誰もが共生できる自由で幸福な町の物語。営業の仕事がうまくいかず精神科の門を叩いた晴美。ある日父から、精神障がい者を「善常者」と呼び、健常者と区別なく暮らしている「円い町」へ行くことを勧められる。だが、町に住むためには4つの条件をクリアする必要があった......。※本記事は、鈴木寂静氏の小説『近づく果実 ~円い町と青い町~』(幻冬舎ルネッサンス)より、一部抜粋・編集したものです。 生の素顔 郷山が 深緑の生き生きした姿を 曝け出す 更に抱き込むように 四国山脈が聳え立つ その山肌には 灰白色の雪が彫刻刀で切り裂いたように 鋭く張り付く 嗚呼 何という生の素顔だ
エッセイ 『ねぇねぇみかどのおばさん』 【第3回】 六谷 陽子 不良とつるみ始めた近所の男の子…。駄菓子屋のおかみが決行したのは「えこひいき」作戦!? 一 みかどを閉店します富山の片田舎から下町に嫁いだ頃は、母も人間関係で苦労したようです。当時は、各家庭には水道は通っておらず、共同水道を十世帯くらいで使っていたのです。そこに行けば、他の誰かが必ずいます。特に水を使う時間帯は同じだから、会わずにすませる、というわけにはいかなかったようです。年配のおばさんたちは、個性的で嫌味を言う人もいれば、優しい人もいます。年配らの会話を笑いに変えて楽しむ若妻も…