2 医学の分かれ道
①君は何しに医学部へ?
医学を選ぶ際には、いろいろな動機があるでしょう。自分自身や家族、親族が医療の多大な恩恵を受けたとされる方をよく見かけます。
現場の医師の仕事ぶりに感動して、その道を選ぼうとする動機となることは、よく理解できます。また親族や周囲の方々が、医療人として活躍しておられるのに、大きく感化された方もあるかもしれません。あるいは親族が経営する医院を、将来引き継ぐことを求められている場合もあるでしょう。
現在の医学では、未だに解決できないたくさんの課題があります。最善の治療にも関わらず、進行して死に至る患者さんも数多くあります。自分の身近な方が、医療の甲斐なく亡くなられたことを機に、不治の病と取り組んで、将来直せるようにしたいとの願望をもつ人もあるでしょう。そのような医学研究の道にまい進したい、とする動機も大いに結構です。
ここで強調したいのは、医学を学ぶ職業人は、他の業種と比べてかなり特殊性を持っていることです。
特に病める人々、あるいは病気そのものを対象として、日夜取り組んでいく職業です。その点を十分理解・認識して、医学の道を選んでいただきたいものです。