第2章 ナイスデイへの歩み
人間関係上のナイスデイ
これを支えるスタッフも、このコミュニティに属すことになり、生き生きと輝く世界の中で、感謝されながら働くことになります。多くの介護現場が3Kといわれているのに対し、ナイスデイは感謝と、喜びに満ちた職場になっているのです。このところの少子化で、介護職は特に労働が厳しい割に報われないので、かなり求人難に陥って、介護施設は経営難になっている所が多いです。
特に、一般的に介護職は勤続年数が短く、辞めていく人が次々に出てくるので、経営は当然のことながら大変です。しかしナイスデイは勤続年数がすごく長いので、スタッフ不足に悩むことはほとんどありません。定員60名と大人数のため、仕事はとてもハードで忙しいですが、それでも仕事に意義を感じることができているせいか、スタッフが辞めていくことはほとんどありません。
この実存を重視した経営方針によって、利用者さま、スタッフは共に喜びに満たされることになり、満足度が高いのです。
ナイスデイの風景
終礼の時に、その日に感じたことを小さなメモ用紙に書いて提出してもらっています。一日10枚程度が集まります。ナイスデイの風景をメモから見てみました。
メモ1 「ここはええところやなー、ここに来ている時だけが安心できるワー」。田山さんが車で送る時に話されていました。スタッフが利用者さまから頼られていることがよくわかります。
メモ2 「井川さんと山田さんがとても素晴らしい笑顔でお話しされていて、笑顔を見れるだけでこちらもエネルギーを頂けて嬉しいです」。利用者さまが救われている感じが出ていて、素晴らしいメモです。
メモ3 丘林さん、お風呂の脱衣室で、介助していた際、立位を取ってほしい時や前かがみになっていただきたい時等に、お声がけすると「OK、ハイ」など今までよりも気合の入ったかけ声を出され、最後に「お疲れ様でした」と声がけすると、「GООDラック」とおっしゃいました。要介護5の重症の方の応答とはとても思えない楽しいやり取りです。
メモ4 沖さんの娘さんが、迎えに行った時、「母はデイに行くのをとても楽しみにしていてありがたいです」とおっしゃってくださいました。お母さまがデイに行って笑顔になられ、ご家族が喜ばれている様子がわかり、素晴らしいメモです。
メモ5 岡山よしこさん、帰りのマンションの玄関で車から降りてもらう時、幼稚園児のお子さんたちから「可愛いおばあちゃんやー」と言ってもらい、みんなで癒されました。驚きです。岡山さんの実存が輝いているのが、幼稚園児にわかってもらえたのですね。
メモ6 Mさんは、スタッフが言ってもマスクをすぐに外してしまい困っていましたが、認知症気味のKさんに「あんたマスクしてないやん」と怒り気味に言われました。Mさんはあわててマスクをされ、その後もマスクを外すことはなくなりました。デイケアの利用者さまは強い共同体意識で結ばれているから、スタッフより、仲間が言うほうが、強い影響力を持っていることに改めて驚かされました。