【前回の記事を読む】数限りない生物の生息…万物を生み成した大自然の“ナチュラルな営み”とは
一 大自然
2 大自然の営み
(1)生命の創造・進化
ここで、アメリカの科学者ロバート・B・ストーン著『あなたの細胞の神秘な力』(奈良毅訳 祥伝社』1994)に紹介されている、クリーブ・バクスター(アメリカの超常現象研究家)の言葉をかいつまんで紹介してみます。
・宇宙意識というものが、あらゆる空間のすみずみにまで満ちているのだ。
・この世にはすべてを調和し、一体化させるものがあることを信じざるを得なくなった。
・私たちはひとりぼっちではない。
・あらゆる生きものの細胞は、この大いなる意識(宇宙意識)とつながっているのだ。
・プライバシーなんかはもうないんです。暗い裏道に入って何かうまいことをしようなどと思っても駄目です。
お互いに非難し合ったり、環境を破壊したり、悪いことをしても罪を免れようなんて考えたりすることは、とんでもない間違いです。もう秘密は保てないんですから。
これは、科学技術が今よりももっともっと進化して、物質と精神を一連の自然現象として捉えることができるようになったとき(バクスターのいう「宇宙意識」が感じ取れるようになったとき)に見えてくる世界ではないでしょうか。
人間は計り知れない可能性を秘めた生きものです。いつの日か、物質と精神を一連の自然現象として捉えることができるようになり、スチュアート・カウフマンが述べているように、人間も人工的に生命を創り出すことができるようになるのかもしれません。それが、大自然の申し子「人間」としてよいことなのかよくないことなのかということは別にして。
「やがて細胞は進化して、細胞同士が集まって栄養物質を交換したり、情報を交換したりして、集団を作って生活するようになりました。それが多細胞生物であり、ヒトや動物、植物などは多くの細胞からできている多細胞生物であるといえます」(岡田安弘著『生命・脳・いのち』東京化学同人1996)。
自然界の物質が寄り集まって有機体としての細胞を形成したからくりも人知の及ばない出来事でしたけれども、さらにその細胞体が集団を作り、分業体制を組んで生物としてのいのちを組織立ててきたということですから、全くもって摩訶不思議な出来事です。だから昔の人たちはこのような人知の及ばない出来事を、天にまします絶対者の営みと決めつけてしまっていたのです。
絶対者の営みと片づけてしまえば、もうそれ以上「どうして?」と問い深めていく必要がなくなります。
しかし、この摩訶不思議な出来事は、人間の心の中に思い描かれたある種の絶対者の営みなどではなく、自ずからにしてそうなったナチュラルな出来事だと考えなければならないのです。自ずからにしてそうなってきたというその道理が、実は万能の「大自然」の営み(成行き)であるということです。わたしたち人間は、その大自然の道理の存在を信じて付き従いつつも、その道理をどこまでもどこまでも問い深めていかなければならない役目を担っているのです。