【前回の記事を読む】「大自然」という言葉に含まれた「深すぎる本当の意味」とは?
一 大自然
このことは、図表1に見るレベルⒸの「うまく生きてゆく」という知識技術的・適応的生き方から、レベルⒹの「よく生きてゆく」という人格的・創造的生き方への、精神的いのちの昇華“sublimation”が問われているということです。
精神的いのちを、レベルⒸの生き方からレベルⒹの生き方へ昇華“sublimate”させることができれば、人間の精神的いのち(こころ)は格段にハーモニックな素養に整えられていくものと考えられます。
しかしながら現実は、このレベルⒹの人格的・創造的行為の領域が未開墾の状態になっているようです。このことが昨今の人間社会におけるさまざまな混乱の要因になっていることは確かです。わたしたちは今、大自然から授かった精神的いのちの可能性を持て余して四苦八苦している状況にあると言わざるを得ません。
それでも、もの言わぬ摂理としての大自然は、わたしたち人間の立ち居振る舞いを遠目に静観しているだけで、何も示唆などしてはくれません。本当の人間性探査への営みは、すべてわたしたち人間自身の力量に委ねられているのです。わたしたちの五感で捉えることのできない摂理としての大自然とは、誠に冷静・沈着な存在のようです。