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きずな
ラミーヤの駆けぬけた夏
実は、宮本は彼女の来旭三日目から一週間夏休みだったのです。宮本のいない時にやってもらおうと彼女向けの宿題(独自の質問票つき)を三題用意しました。小児ストーマに関しては平澤先生、小児鼠径ヘルニアは宮城先生、小児虫垂炎は石井先生に指導担当してもらい、それぞれ英語でミニレクチャーをするように指示しました。
ここでお気付きかとは思いますが、外国人留学生を受け入れると小児外科スタッフの英語力が猛烈にアップします。我々のためにもなるのです。彼女のいる四週間、日常会話も、カンファレンスも英語としました。逆に彼女には日本語がわからなくても、日々の患者さんとの会話、術前のインフォームドコンセント(手術などの説明と同意)にも必ず立ち会ってもらうようにしました。
言葉がわからなくても、医師・患者・家族の表情を読んでもらいたいと思ったのです。医者志望であれば必ず何か得ることがあるはずと考えたからでした。
夏祭りで山車に乗る
彼女の来旭初日、ホスト役の一年生女子医学生Uさんを医局秘書さんと宮本がお手伝いすることになりました。
旭川駅では札幌からのバスを待つ場所に勘違いがあり、ぎりぎりラミーヤがバスから降りてくるところに遭遇できました。表情豊かな明るいラミーヤが登場! はやりの(?)破れジーンズ、かぶり物はなし、ピアスはあり、一見細身ですが大きく重いトランクを軽々持ち上げるとはなかなかの筋肉量と推察。彼女と話を進めるうちにいろいろなことが判明してきました。
彼女は医学生としてロシア、スウェーデン、ギリシャでも研修し、多言語を使えること。厳格なムスリムではないが、豚肉とアルコールは禁止であること。仕事中は礼拝をしなくていいこと、子どもの時にはギターに夢中で、今は毎朝のランニングが趣味であること、などなど。アグレッシブで前向きな現代の若者ムスリムさんです。
彼女が絶対研修したいと日本中探して希望してきた我が小児外科で、なんとかひきうけていけそうな気がしました。到着初日は旭川夏祭りの最終日でもあり、ラミーヤ、Uさん、秘書さんとともに夕方から夏祭りに繰り出しました。日が沈む頃になってからの“よさこい演舞”に続き、神輿が出てからは旭川にこんなに人がいたのかというくらいの人混みと熱気となります。