第一話 ペニシリン
「そうですよ」
……!?……
「こまるでありんす」
「美咲。いつもやってる事だろう」
「そうでありんすけど……人前ではやった事がないでありんす」
「みんなもそうだよ」
「まぁ、実験ですから、そんな固くならず気軽にお願いします」
「では、お手柔らかにお願い申します」
「それでは美咲さん。やってみてください」と袋に入ったマラサックを一枚渡した。
「こう、うぅん……、どのように?」
「まず、袋を破いてください」
「どこからでありんす」
「何処でもいいですよ」
“ビリビリ”
「こうでありんすか」
「はい。次に私のマラを握って上下にすりおろしてください」
「こうでありんすか」
“しこしこしこ”
「そうです」
「大きくなったでありんす」
「そしたら亀頭の首あたりを“ギュー”と握ってください」
“ぎゅ~ぎゅ~ぎゅ~”
「どうです。亀頭の一目小僧から何か出てきましたか」
「いいえでありんす」
「そうですか。もし、淋病を持っていると膿が出てきますので、それで病気があるか確認してから、このマラサックを被せてください」
「こうでありんすか」
「滑りやすくなるよう人体に無害な薬を塗ってあるので、亀頭に被せて根元に下ろして行けば、簡単に取り付ける事が出来るでしょ」
「なにか“ヌルヌル”してるんでござんすね」
「そうです」
「気持ち悪い感じがしなんすが、使いやすくもありんす」
「慣れれば気にならなくなりますよ」
「そうでありんすか」
ワハハハハ。
「あっ! 補足します」
「まだあるのか」
「はい。今度は毛ジラミを貰わない注意をします」
「毛ジラミはしつこいからな」
「いいですか」
「はい……」
「今説明したマラサックを被せる時に、お客様の陰毛の根元を見てください。毛ジラミがいると赤黒いものが付いています。それを爪で搔き落としてください。そうすると血を吸った虫が動き出しますから。それが毛ジラミです」
「そんなの分かっているでありんす」
「それならいいですけど、接触したまま放っておくと、次から次へとうつります。なので、毛ジラミを持っているお客様が来たら……『剃り落としてから来てくれ』と帰ってもらってください」
「おとなしく帰ればいいけどな」
「事情をよく説明すれば分かってくれますよ。それに本人だって痒くて仕方ないでしょ。風呂に入ると元気が出て血を吸い始めるので痒くて、痒くてたまらなくなりますから」
「そうだな。おい、みんなそれでいいな」
「あい」
「ありがとうございます」