お客さまとのやりとりの中で肩がこっているとか、頭が重たいとか症状をあらかじめ聞いていますので、テスト用メガネ装用後10~15分くらい経ったところで、
「肩を動かしてみてください、今肩こりはどうですか?」
と尋ねると、まだ大して時間が経っていないのにせっかちなとでも言いたそうに肩を動かしながら、
「あれっ、気のせいかしら肩が軽くなってる、なんだか気持ちがいい」
と、こういう反応がありますと、もはや理屈は要りません。眼精疲労のメガネを勧めるキッカケができるのです。
眼鏡店の私たちがお客さまに眼精疲労用のメガネを勧めるのには大変な苦労を伴います。メガネ屋がお客さまにメガネを勧めることは当然すぎるくらい当然のことですから、仮に一般のメガネとは目的が異なるメガネであっても“商売トーク”と受け取られてしまったことがあります。
誰が主導すべきか、眼因性疲労治療のためのメガネ
前田眼科医院を受診する患者さんの目的が、神経衰弱の治療のためですから、我々眼鏡店に来る「よく見えるメガネを求めるお客さま」とは最初から来院の動機と目的が異なります。神経衰弱が治った人の噂を聞いたり、雑誌記事を読んだりして、自らの神経衰弱を治したい一心で前田医院を受診するのですから、ドクター主導で視格矯正法によるメガネ矯正ができたことと思います。
メガネを装用する患者さんたちの反応については、治癒実例集に具体的に記してあります。一例を挙げるなら、視格矯正法で処方されたメガネは概ね遠方がボヤけて見えますから、患者さんたちは辛抱ができず苦情を言ってきたようですが、そこで前田先生は
「メガネを掛けて以降、あなたの頭痛はいかがですか?」
と尋ねると、
「あれ以来頭痛を忘れているんですよ」
という答えが返ってきます。見え方の不具合にもかかわらず神経衰弱症状はこの時点で既に好転しているのです。