2+1は……

~解けた氷~

参観日の日、ヒカリはいつもの様に明るく登校して行った。凛は慣れない背広を着て鏡を見て、色々ポーズを取っている。声の調子も、一人で発声練習している自分を鏡で見て「OK」と言って出かけて行った。ヒカリの学校では、授業参観が開かれていた。凛は静かにクラスの中に入って行った。

なにやら、後ろが騒がしいのに気が付き、ヒカリが振り返るとそこには凛の姿があった。凛は自分に気がついてくれたヒカリに嬉しくて、手を振った。ヒカリは恥ずかしそうに、凛に手を振り返した。

クラスの女子達が騒ぎ出し、クラス中がざわついていた。帰りの会が終わるとクラスの女の子達が、ヒカリの周りに寄ってきて

「ヒカリちゃんのパパカッコいいね~。家のパパなんか、おじさんだから来て欲しくないもの!」

「今度、ヒカリちゃんの家に遊びに行っていい?」と、大騒ぎになっていた。

ヒカリは、少し誇らしかった。

ヒカリは楽しそうに凛と手を繋ぎながら学校を出た。ヒカリは照れくさそうに、「ありがとう」と、凛に言った。

凛も父親らしく、「父親参観にも行くからしっかり勉強するように!」と笑い、2人は家に着いた。

その夜、中庭にまひると凛の姿があった。

「今日は、ありがとう~。一応私、頑張ってるつもりだったけど、何処かでヒカリに寂しい思いをさせてたのね。母親失格だな~」

珍しくしおらしい、まひるだった。

凛は、そんなまひるの肩を抱いて、「1人で頑張らなくてもいいんじゃないかな~。これからは、俺が2人を守るから」と、言ってくれた。

2人が見つめ合って数cm所に、突然ヒカリが現れ、まひるは思わず凛の頬を叩いてしまった。

凛は頬に手を当て驚いていた。

「虫、虫がね、止まってたわよ! 刺されたら腫れるから!」

凛は思わず、「ありがとう」と、応えて「ヒカリ何か用事?」と、頬を抑えながら聞いた。

ヒカリは、凛に「有難う」と言い、プッと笑いながら「夜は長いから2人とも風邪ひかないように」とまで言っておきながら、「アツアツだから大丈夫ね」と部屋に入っていった。

まひるは、うろたえながら「ゴメン! 痛かった?」と、凛に聞いた。

凛は微笑みながら、少しねと応えて寄り添っていた。