第三章 嫉妬
早く起きて朝食の準備を始めた。しばらくして沙優が起きてきた。
「おはようございます。私ベッドの真ん中に寝ちゃってすみません。南條さん寝られなかったですよね」
「ああ、デスクチェアーで寝た」
「すみません。どうしよう、あの起こしてください」
「大丈夫だ、気にするな」
「でも、南條さんのベッド……」
「大丈夫だと言ってるだろ」
俺は声を荒らげた。沙優はビクッと肩を震わせて口を閉じた。
「怒鳴って悪かった」
沙優は目にいっぱいの涙を浮かべて、堪えていた。俺はそんな沙優を見て、我慢出来ず引き寄せて抱きしめた。
「沙優、ずっと俺の側にいろ、どこへも行くんじゃないぞ」
「はい」
沙優は泣きながら答えた。俺はどうかしている、この俺が嫉妬するなんて。沙優のことを考えると頭がおかしくなりそうだ。どんな男なのか。なぜ俺との同居を許してるんだ。まさか話してないのか。色々な疑問が脳内を駆け巡った。
「沙優、今日から食事はいらない、だからお前も外で男と済ませて構わないぞ」
沙優は不思議そうな表情で俺を見つめた。なぜ、俺は心にもないことを言ってるんだ。
「分かりました」
その日から俺はまた一人で食事をした。沙優が気遣っていることなど想像も出来ず、てっきり男と食事をしたいのだと、勘違いをしてしまった。