【前回の記事を読む】「儲ける力」とは完全な才能。国家財政の無能さを今ここで紐解く!…

はじめに

その代表的な例が、最近、世界を巻き込んで大問題になっているコロナ禍ではないでしょうか。東京五輪があるにもかかわらず、ワクチンもきちんと準備できない、飲食店等に休業要請をしてもそれに対する十分な補償もできない。あまつさえ、要請に従わない事業者には、金融機関や取引業者を使って圧力をかける始末です。

しかし、これも元をただせば国の財政が悪すぎて、政府がない袖が振れなかったから起こった事ではないでしょうか? 

私は、政府の国家運営があまりにもひどすぎるので、この本を出版しようと思い立ちました。この本の趣旨は、一経営者の立場から経営学的に日本の財政再建案を考え、それを実際の経営計画として数値に落とし込んだ結果を記しています。最初にいっておきます。この本は、単純な財政出動による景気浮揚政策やMMT(現代貨幣理論)の解説の本ではありません。私が二十年以上取引銀行に説明してきたように、細かい数字にもとづいて日本の再建計画を皆さんに提案するつもりです。

皆さんは銀行の融資担当者になったつもりで、私の財政再建案を論評していただけると、今の日本が一体どのような状態にあるのか、おのずとわかってくださると思っています。

例えば、皆さんがその融資担当者の立場だったとして、どんな会社にお金を融資したいと考えるでしょうか? もちろん、きちんと返済できる企業に融資したいに決まっていますが、仮にその融資をする事によって、その後その会社にどんな影響を与え、これから先どれだけ儲けられるのか? 返済期間を仮に十年とした場合、十年間の経営計画を作成し、その計画の信頼度を銀行に説明する。私はいつもこんな風に銀行に説明してきました。

私が、経営者として一つだけ自慢できる事があるとするならば、現在の日本政府と同じように財務内容が苦しく、明日にでも倒産しそうな会社の経営再建計画を、長年、数多く作り続けてきた事です。このため、今では会計事務所を少しもアテにせず、どんな会社の再建計画も作成できるようになりました。

今回の政府の財政再建も、一般の企業と同じように、仮に日本政府を一つの企業として捉え、自分がその経営者になったつもりで、今後の日本政府の経営計画のシミュレーションを、いくつか組んでみました。

するとそこから、意外な事がわかってきたのです。それは、今の日本経済の状態では、どんなに消費税を増税しても、単に税収を増やしただけでは財政再建を果たす事ができないという事です(ここでは今回、仮に消費税を一気に30%にまで引き上げてみた場合のシミュレーションを作成してみました)。