第三章 三日坊主百回の薦め
私はもう一度、十年前のロバートからの手紙を読み返した。
「二〇〇三年二月二十五日、親愛なる健へ、僕のメッセージに返事をくれて本当にありがとう。朝食を摂ろうと、いつものように台所へ行ったら、君の手紙がテーブルに置いてあって、びっくり!すごく嬉しかったよ!だから学校にまで、君の手紙を持っていって、何回も読み返したよ!」
私は濃い霧の中、広大な大地を、何の当てもなく彷徨っているかのようだった。だが厚く覆われた雲の隙間から覗く、その一筋の太陽の光に、人生の活路を見出そうとしていた。彼の直筆の文字には、何ともいえない、人間的な温もりがあった。会ったこともない外国人の私を、心からの親友として敬い、励ましの言葉を贈ってくれた。
「二〇〇三年四月四日親愛なる健へ、
この前送ってくれた健からの手紙を、また何回も読み返したよ。その中で健が、時々孤独を感じるって、書いていたよね?
僕も同じだよ。別にこんな風に感じるのは、健だけじゃないし、ごく自然なことだと思うよ。多分、健は内気で、新しい友達を作ろうとすると、相手に敬遠されるのが怖くて、難しいと感じるだけじゃないかな。
でも大丈夫だよ!もしそうなら、周囲の人たちが、健のことを真っ先に大好きになることを、僕が保証するよ!だって僕は、健のことが、友達として知れば知るほど、大好きになってきたのだからね。毎回健の手紙を、僕は楽しみに待っているよ!
健は明らかに、知的で、繊細で、思いやりがあって、思慮深くて、フレンドリーな親近感を持てる人だから、みんな君のような友達が欲しいと思っているはずだよ!
だから健は、自分にもっと自信を持って!」
私は胸が熱くなるのと同時に、涙が溢れ出てきた。ロバートは空想の人じゃない! 現実に存在している! ただユーラシア大陸の東と西にお互い生きていて、二人の点と点が、まだ本当の意味で線になっていないだけだ。本当の線にするかしないかは、今の私にかかっている。
私はもう一度決意し直した。またある時、井戸は私をこうも激励してくれた。
「決意して失敗して三日坊主になっても、また三日坊主を続ければいいのですよ。何度でも三日坊主を続ければいいのですよ。三日坊主を百回続けたら、何日がんばれたことになりますか?三百日ですよ!一年のうちに三百日もがんばれたらすごいことじゃないですか!あとの六十五日は休むことも肝心ですよ!」