そして改めてこのTCについてさらに調べ始めました。もしも、
「デイケアでTCが起こった」
と言ったら、TCの専門家は恐らくあきれて
「そんな馬鹿なことを言うな」
と笑われるに違いありません。しかしそういう思いの中でも、だんだん考え方が固まってきて、確かにTC的と言っても、良いのではないかと考えるようになりました。准教授とメールで交信できたことはとてもありがたかったです。
TCの要件は何か
TCを行う薬物依存症者、受刑者は社会からはみ出した存在です。いや、はみ出されたというほうが正解でしょう。一方デイケア利用中の要介護者はどうでしょう。今まで社会で元気に動いておられた方が、病気のため、介護を受けなければ生きていけなくなっておられるのです。
病気は突然起こることが多く、ある日突然、脳梗塞で半身不随になることがあります。自分はどんな悪いことをしたというのか、と自責の念に駆られるのが普通です。失禁すら起こしてしまい、人格はずたずたに引き裂かれてしまいます。これから先、何を思って生きていけば良いのか、迷惑をかけてまで、生きていって良いのだろうかと、深刻に考えない人はいないと思います。
デイケアの利用者さまは家から通っておられるので意識がしっかりしているだけに、心の傷は深く、自分はこれからどう生きていけば良いのか、どう切り替えていけば良いのかと深く深く悩みの中に落ち込んでおられます。この問題は他人では心の中に入り込むことができず、ご本人が解決するしか道はありません。しかも本人は絶望の中に突き落とされているのです。
どうすれば前向きに生きていけるか、深い闇の中で苦しんでいるという意味では、要介護者と薬物依存症や刑務所にいる人たちは、TCの対象者として、同じ立場にいると言えるのではないでしょうか。従ってこの深刻な状態はTCで解決できる可能性があると、考えられるのではないでしょうか。