某大社に着いた私たちは、参拝方法を確認する。「やるからには全力で、抜かりなく」というのがリサのモットーであり下調べは十分だ。ここでは二礼四拍手一礼が正式な作法であり、ホームページにも詳しい記載がある。

銘々お参りし、お守りを購入したり近くのおみやげ屋さんを見たりして心おきなく過ごした後次へと向かう。高速道路は使わずに左に宍道湖を見ながら九号線を緩やかに進む。そんな移動時間はもっぱらお喋りタイムだ。密室の車内というのは、誰にも邪魔されない打ってつけのスペースだ。

話題は早速、私とショウタとの食事の話になった。リサは、意外と早くて順調な展開に驚きながらも喜んでくれた。誘われたときに感じた不安とは裏腹に、ごく普通の楽しい食事だった。

予定より少し早めに着いた私は、駅の改札でショウタを待っていた。そわそわした気持ちを逸らすように、返せていなかったメールやSNSの返事をしておく。

少しして私を見つけた彼が急いでやってきた。弾かれたように顔を上げると、困ったような笑顔の彼がこちらを見て待たせてごめんと謝る。私は携帯をしまって彼と歩き出す。待ち合わせ場所は彼のテリトリーなので、素直にお店選びは任せて彼についていく。

私たちは駅から数分歩いたところの、カジュアルで小綺麗な焼き鳥屋さんに入った。カウンター席で乾杯する。冷えたビールが、仕事終わりの疲れた体に心地よくしみて最高だ。お互いに半分ほど一気に飲み干してほぼ同時にテーブルにジョッキを置き、なんとなく二人で笑ってしまう。

どうしよう、すごく楽しい。

初めて二人で会うので会話が続くかと心配していたが、それは杞憂だったようでさまざまな話題が次々に心地よく二人の間を通り過ぎていく。