次の日、変人ポーが帰宅すると開口一番、こう言った。
「とら! 金曜日から泊まりで島に行くぞ。スクールは休みだ。週末のお前の用事も休みだ」
「え!? 土曜日は部活があるし日曜は友達と約束があるんだけど」
「うるさい。休みだと言っている」
出た。変人ポーの個性っぷりが垂れ流し状態で且つ止めどない。とは言っても、言わば弟子入りをお願いしたのは自分のほうなので、そしていまはこの変人ポーの哲学に初めて興味を持ち始めたので、結局は変人ポーのオファーを受け入れることにした。2泊3日の合宿が何年ぶりかで復活したのであった。
さて、なぜボクが今回筆を執ったかというと、この日から始まった変人ポーの教えがあるいはこれからの世、つまり、グローバルでテクノロジーの世界を生きるための重要なスキルとなってくるに違いないと確信するものだからであり、それならばこれを体系化して紹介してみようと行動した次第だ。それが“本物の教え”なら広い支持を得られるに違いない。
その教えとは「人間力」というものであった。ボクは自分をまだ自覚すらしていない幼少の頃から、変人である父にこの人間力を叩き込まれてきた。そして、この世に生を受け20年越しとなる20歳のあの誕生日にたしかに解放された。本書は、その物語でもある。