少し離れたその先生の病院へ行くことにしました。
病院の先生や看護師さんは親切に対応してくれました。でも小さな子どもをちょこんと座らせた状態で、良さそうなカメラであらゆる角度から由美をカシャカシャと撮影するのです。当人のそして今後の医療全般にかかわることだとはわかっています。しかしこのとき、私の胸は締めつけられ、泣かないものの内心涙が溢れるような感情になりました。
病院へは、往復の交通時間、待ち時間に診察、レーザーなどの治療時間もあり一日がかりでした。
これまで病気で休むことはほぼなくきたのですが、学校を休むことも出てきました。
我が家には由美を含め年の近い子どもが三人います。夏休みなどは、子ども三人を連れて電車を乗り継ぎ病院へ行ったこともありました。また由美以外の子を家でお留守番させたり他人に預かってもらうこともありました。
子どもが小さいうちは人との関わりで助けられていたこともありました。と同時に子どもたちそれぞれが何かしらの負担がかかっていたこともあったと思います。
骨折や捻挫は全治〇か月などという予測があるでしょう。しかし病気の髪は、いつ戻るのか戻らないのか何も見通しはありません。
髪をなんとしても生えるようにしたい、その一心で病院へ通っていました。
ふと私は電話帳で、町のある漢方薬局が脱毛症にも詳しく、対応しているようなことが掲載されているのを見つけたのです。すぐに連絡をとり、かけつけました。
髪を洗うときにバスタオルを広げてシャワーで流し、どんな毛髪がどのくらいの本数、抜け落ちるのか調べることをしました。毛根が針先のように細くなり抜けてしまう髪になっているとのことです。
丸いマッチ棒の頭のような毛根が健康な髪とされるのに抜け毛の中にはありませんでした。
早速、小柴胡湯と桂枝加竜骨牡蛎湯という漢方を合わせたものを処方され、さらに滋養的なドリンク剤も摂るようにしました。
どれくらいで効果があるか尋ねると、早くて半年、長くて三年くらいで効果が出てくると思いますよ、とのことでした。
やっと見通しを聞くことができたのです。