夜、家に着いたまひるに、ヒカリがおかしな事を言ってきた。
「まひる、ソファーの後ろにドアがあるよ」
「何言ってるのよ~。あるわけないじゃないの。有ったらソファーなんか置かないわよ!」
ヒカリに引っ張られリビングのソファーに来ると、確かにドアがそこに有った。
何だろう……ドアなんて無かったのに。
まひるはヒカリとソファーを退けてドアを開ける。
螺旋状の階段があった。
ヒカリは興味津々に上っていってしまった。
「まひる~、凄~い」
まひるは、慌てて二階に上っていった。
其処には平屋とは思えない贅沢な家具が揃っていた。そして身長は185cmぐらいだろうか、細身で端正な顔の男性が居た。
まひるは、
「あの~どちら様でしょうか? ここは私達の家なのですが、それにこの部屋の事や家具など、何が何だか混乱しているのですが」
と尋ねると、その男性は身じろぎもせず、
「勝手に来たのは御宅さん達で、こちらが、逆にお尋ねしたいぐらいですがね~」
その言葉を聞いたまひるは、
「この家を買ったのは私で権利書も有ります!」
何、とぼけた事を言ってるのやら!
すると、その男が
「元々この二階は、僕の家でしてね。勝手にズケズケ引っ越してきたのはどちら様でしょうか?」
まひるは思わず、ちょっとイケメンだと思って黙ってたが、つい言ってしまった。
「子供の前で何ていう言い方するのよ!」
まひるは、意外と負けず嫌いだった。其れに加え女1人でヒカリを育ててきて強くならざるを得なかったのだった。
「今日は仕方ないけど、明日には出て行って下さい! ヒカリ行くわよ!」
まひるは、ヒカリの手を引き階段を下りていった。
「ヒカリ! ソファー戻すわよ! 箪笥は持ってこれないから、テーブルのそっちを持って!」
ヒカリがまひるに
「何してるの?」
と尋ねた。まひるは、
「変な人と今夜過ごさないといけないのに、何かされたらどうするのよ!」
ヒカリがまひるに何か言いたそうにしていた。
「何だか可哀想だよ、悪い人にはみえなかったし。それに、ここ2階建てじゃないし、変だよね」
ヒカリに言われて、まひるも考えた。
「あぁぁ疲れた! 明日考える! ご飯にしましょう~」
シャワーから出てきたヒカリにまひるが言った。
「私がシャワーに入ってる間にアイツが出てきたら、直ぐに110番するのよ、分かった? お願いね」