第二章 ジョルジュ・ドンの資料探しに夢中
“ドン漬け”の日々
2020年初秋。ひんやりした風が顔を撫でていく朝だ。縄跳びをし、人参ジュースを作る。朝食のあと、アルゼンチン出身のバレエダンサー、ジョルジュ・ドンの『ボレロ』(モーリス・ベジャール振付、1979年、20世紀バレエ団)をモニターで映しながら踊ってみる。
3分の2ぐらいは何とかできたが、すぐ足のバランスを崩してしまう。
今、ドンに夢中だ。
彼と生き彼と一緒に呼吸している、と感じるほどだ。
ドンについて書かれたまとまったものは見付けられないが、振付師のベジャールはフランス人であるため、おそらくフランス語の出版物はあるのだろう。これからは何であれ彼について書かれた文章は写真に撮っておくか、何かに保存しておくことが必要だ。
出版されたもので、あちこちに断片的に存在するものを一つにまとめたい。まだまだ今は基礎的に知らなければならない事柄ばかりだから焦ることはないが、私のSNSを見る技術があまりにも不足しているため容易ではない。
ドンは、1992年11月30日、45歳でこの世とお別れをした。それからすでに28年もたっている。
それにしても28年も経過していながら、彼の『ボレロ』をスマートフォンで一度見ただけの飛び入りのような私を、クレージーなファンにしてしまうこの奇跡。
ドンとは一体何者だ? まるで彼は今も生きていて、長い旅にでも出かけているようだ。