【前回の記事を読む】世界中を虜にするドン。その魅力のワケは「3拍子揃っている」から?
『28年後の恋』を完成させたい
2021年3月。B社の編集者から突然電話がきた。2年前に初めて書いたエッセイ『73歳からのインスタ遊び』を「人生十人十色大賞」という懸賞募集に応募したが、落選したのは確か2019年5月末だった。そのあと、おそらく電話が入るだろうとは予想していた。「自費出版しないか」とすすめてくるのではないかと。そんな時に電話がきた。
「どんなご用件でしょうか?」
「あなたとダンスの関係を書くと面白いのではないでしょうか」と言う。
「今、書いています」
こうして彼女から名刺と手紙を送ってくることになった。“ドン漬け”の日々に、少しずつ自分の中で変化が起こるのを面白がっていた矢先の編集者からの電話だった。これを機に、もっと明確に目標を決めて、『28年後の恋』執筆に本腰を入れることにしたい。
2021年になっても、世界的にコロナ感染が拡大し、ヨーロッパ、アメリカなどではまた地域別にロックダウンや飲食店の早じまいなどが決定し、第3波といわれている。日本でも一日の感染者が増加し、東京では1日300人を超えた。
ブログでの素敵な出会い
公私の雑用を済ませて自宅に戻るとすぐにパソコンを開け、ともかくドンと会うようにする。今やドンは私の守り神になってしまった。ドンはもう28年前に死亡し、遺体は焼かれアルゼンチンの墓地に埋葬されているのだが、私の心の中では、ドンはまだ宇宙のどこかにいると信じている。
毎日、YouTubeでドンの動画や写真を見る。一通り見てしまうと、もっとどこかにないか投稿者をクリックして、さらに検索する。突然画面にあるブログが出現した。この投稿者は以前にも見ていたが、仲間ができたようでうれしかった。
このブログは資料も充実している上、文章も丁寧なので、ブログをずっと見続けた。記事を古い順から読んでいくと、すでに知っていることもあるが、写真などは、新参者の私には垂涎ものばかりだ。ドンとベジャールが二人だけで田舎道を歩いている1枚は、二人とも幸せにあふれていて、ベジャールがドンの肩に手をかけている。
この写真は一例にすぎないが、様々なタイトルの一つ一つに、私にとってはまるで秘宝のような写真が添付されていて、数時間ずっと見続けてしまう。
この投稿者が女性であるのはわかったが、それ以上の詳しい情報はわからない。だが、これだけ詳細な情報を提供してくれるから、これまで隔靴掻痒だったことを考えるとありがたい。
ドンが亡くなって28年にもなるというのに、ドンに魅せられてまだ数ヶ月の私が、“ドン様愛”の本を書こうというのだから、ふざけているとしかいいようがないかもしれない。それでも、バレエのレッスンも始めようとしているし、片脚立ちさえおぼつかないのに、ドンの『ボレロ』を少しずつ稽古しているのだから、許していただくほかない。
スペイン語もフランス語もわからないのは残念だが、ブエノスアイレスに行きたい。ドンゆかりの場所に行ったり、お墓参りもしたい。
なんとかSNSを使いこなし、インスタグラム投稿もし、noteにも投稿を始めようとしているが、こうして文章を書くことが一番好きだ。