そして具体的な養成計画も策定され、キャリアコンサルタント登録者数を2024年までに10万人とすることを目標とし養成が始まりました。2021年(令和3年)10月末時点で、累計登録者数59058人に達しています(注4)。国家資格キャリアコンサルタントの誕生は第10次職業能力開発基本計画の根幹的政策の一つといえるでしょう。
3 キャリアコンサルタントの就労状況からわかること
さて、こうして政策的に養成されたキャリアコンサルタント登録者ですが、実際の就労状況はどうなっているのでしょう。参考になる調査があります。
平成30年(2018)に独立行政法人労働政策研究・研修機構が行った「キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査(注5)」によると、活動領域は大きく4つに区分できます。①企業、②学校・教育機関、③ハローワークといった需給調整機関、④若者サポートステーションや女性センター等の地域機関です。
そのうち企業を活動領域とするキャリアコンサルタントは全体の34・2%を占めています。そのうち3分の1の勤務先が1000人以上の企業です。常用雇用者が1000人以上の企業というのは日本の企業全体のわずか0・2%程度ですから、その極端な偏りがみてとれます。
また、主な仕事を問う質問では、「キャリアコンサルタントの仕事」との回答が35・9%で最も多いのですが、人事14%、総務等13%と他の仕事を主とする回答が全体の4分の1を占めています。2017年に行われたこの調査の段階では、企業内でのキャリアコンサルティングは、管理職あるいは管理部門の社員等が業務の一部として担っている実情が垣間見えます。
これらの調査結果から、1000人以上の企業ですら管理職や管理部門の社員がキャリアコンサルタントの資格を取得し兼任している現状から考えると、今後企業内キャリアコンサルティングの重要性の認知が進み、仮に2024年に計画通りに10万人が養成された時点においても、全体的な構図は大きくは変わらないだろうと予想されます。
(注4)国家資格キャリアコンサルタントWebサイト2021年10月末都道府県別登録者数.pdf(mhlw.go.jp)
(注5)労働政策研究報告書No200労働政策研究・研修機構(JILPT)https://www.jil.go.jp/institute/reports/2018/documents/0200.pdf