他にも懐かしい先輩方がいた。

四回生の修三先輩。今この企画の音頭を上床先輩と一緒にとっている。弟の晃司も六回生でラグビー部に所属していた。兄弟そろって運動神経はバツグンだった。晃司のほうは仕事の関係で東京に住んでいるが、たまに練習に参加しているそうだ。

他に二回生の加藤(昭)先輩と川出先輩。俺たちとは入れ替わりで面識はないが、今回の件では半年も前から活動してくれているとのことだ。

もう一人長髪でイケメン風の人が話しかけてきた。 

「久しぶりだな。相木。元気だったか」

一瞬誰かわからなかった。が、すぐに記憶がよみがえった。

「井村先輩ですか? 誰かわかりませんでしたよ」

思わず口に出てしまった。光先輩もこの先輩には逆らえなかったほどの人物だ。俺は大学も同じだった。井村先輩は大学では応援部の副団長をしていた。当時の風貌は角刈りで応援団をそのまま地でいく硬派の人だった。長髪のイメージはなかった。

しかし皆まだまだ若い。メタボ風貌なおやじはあまりいない。……一人いた。誰だろう? 関山先輩だ。最近は管理職になりテレビには出てこない。かなりお腹が出ていた。

また、四回生で上床先輩たちと今回の企画に積極的に進めてくれている安田先輩(長身でロック4番だった)。そして三浦先輩もいた。三浦先輩は現在長野県に住んでいるが発足当時より毎回練習に欠かさず参加してくれている。太い首、太い足。がっちりした体格は昔から変わっていない。3番。名プロップだ。

他のメンバーは同級の沖、平岩、重美と直、テーショーがいた。もう一人身体が太いのがいた。同級の田村だった。

この男も本当に久しぶりだ。当時、わけがあって三年間一緒にラグビーが出来なかった。この田村も今回の件では、また皆とラグビーが出来ることを楽しみにしている一人だった。直たちと一緒に積極的に活動してくれている。沖とは幼稚園から高校まで一緒の幼馴染みだ。

皆、そろいのラグビージャージを着ていた。高校当時のユニフォームを思い出させるエンジ色のユニフォームだ。「蟹クラブ」と名前が入っていた。

「チーム名だ。記念試合だけでなく、また皆でラグビーを続けたいと思って、この間そろえたんだ」沖が言った。

「久しぶりだな。沖。腹がだいぶ出てきとるなあ!」

「平岩といい勝負なんだ、今」

本当だ。平岩もかなりおなかが出てきていた。

【前回の記事を読む】【小説】仕事中に突然親友からの電話「知っとるか?」伝えられた衝撃の事実