屈折異常や、眼位異常と健康の関係性を調べるために「眼因性疲労の実態調査」を行い、目と健康の間には「三つの法則性」があることを明らかにしました。
三つの法則とは、
第一、近視は健康な体質をもたらすこと
第二、遠視や乱視、老視、斜位が眼因性疲労の原因になること
第三、屈折異常による眼因性疲労症状の出方には一眼同側半身の法則性があること
です。
実態調査の資料に基づき『予防医学への足がかり 眼因性疲労に関する研究』という小冊子を自費出版するとともに、その実態調査の結果に基づいて、応用物理学会・生理光学部門において報告発表を行いました。
上津原孝一の基本的な考え方は、
「肩こり、頭痛、腰痛、神経痛などの体の痛みを伴うものや、体が疲れやすい、眼の疲れ、不眠、胃腸が弱い、イライラするなどは、病気への注意を喚起するサインと考えることができる。肩こり、頭痛などは至極ありふれた症状のようですが、あらゆる病気の共通症状といわれ、あらゆる病気の前駆症状でもあるのです。その原因が眼にあれば早い段階でメガネを装用することで、これらの症状のない身体にしておくことが予防医学である」と考えました。
私が若い頃ラジオの新春特別番組で聴いたあるお医者さまの話が甦ります。それは、
「頭痛、肩こりなどの症状はあらゆる病気の共通症状であり、あらゆる病気の前駆症状にもなり得る。もしもこれらの症状を良くする方法、あるいは起こさせない方法があるならば、この世から病気が大幅に減少するだろう」
という話でした。メガネを掛けて頭痛、肩こり、腰痛などの症状が起こらないようにできれば、メガネで病気が予防できるということになる、という考え方は言いすぎでしょうか。
我々が実施した「眼因性疲労の実態調査」(眼と健康の実態調査)によれば、肩こり、頭痛の原因の七、八割は眼にあり、大半はメガネで改善するという驚くべき実態が明らかになっています。
健康的な生活を営むためには、病気になってから治療医学による治療を受けるより、「病気ではない病気」、即ち不定愁訴症候群、自律神経失調症、慢性疲労症候群と呼ばれるような病気の前段階で、未然に病気の芽を摘むことを根本とする予防医学が必要と考えます。