第一章 失われた三〇年
《一》平成三〇年間─何もしなかった日本
女性の政治参加は世界最下位近くになった
前述しました『しまね二一世紀(活力ある人づくり、情報通信革命)をつくる』には、地方選挙にあまり似つかわしくない「女性の政治参加を進める」という項目を立てて、次のように記していました。
「戦後、男女とも二〇歳で参政権を得ることに代表されますように、法的には、あるいは形式的には、男女は全く平等でしたが、実際の社会では、いろいろな男女の差が存在しています。私は、この実質的な差が、最近、顕著となってきた少子化の遠因ではないのか、そうすると少子化は、男女の実質的な差をなくさない限り解消しないのではないかと思っています。(中略)
・共働きでも安心して子育てをしたい。保育園は地域のできるだけ近いところに。延長保育をしてほしい。幼稚園・保育所の垣根をとって。……
・出産・育児と就労の両立を可能にして。育児休暇を取りやすくして。所得保障をして。職場復帰をしやすくして。男性も子育てに参加して。……
・介護休暇を取りやすくして。男性も介護を手伝って。……
・男性も家事を手伝って。……
等々、女性の声は周囲に満ち満ちています。母親の、女性のこのような切実な声を聞けば、若い娘さんは結婚に迷います。そして、(結婚してからの)将来の苦労を思えば、今の(独身の)気楽な生活を失いたくないという心境になるのではないでしょうか。
そのような女性の切実な声をくみ取って、どのような社会の仕組みを作るか、社会システムの問題です。(中略)現在の政治・行政に女性のこのような声が的確に反映されていないのではないかと思います。つまり、現在の男性主導の政治・行政が、これにきめ細かく対応していないのではないかと思います。
私はこの問題の解決には、女性自ら政治・行政に参加して、男性と一緒に考え、議論し、知恵を出し、解決してもらうしかないのではないかと思っています。
これから、高齢化・少子化にともない、育児・介護・福祉・教育など、ますます、きめ細かな地方行政・サービスの仕組みづくりが必要です。女性に直接、政治・行政に参加してもらい、ぜひ、このような新社会システムづくりを一緒にやってもらうことが不可欠になっています。
ノルウェーでは、首相が女性、大臣の半分が女性、国会議員の四割が女性とまさに政治の舞台でも男女平等を達成しています。この国の男女平等法には、『四人以上からなるすべての公的審議会、委員会、評議会などは、任命、選挙を問わず、一方の性が四〇%を下回ってはいけない』と性によるクオータ(割り当て)を具体的な数字で定めています。
つまり、実際的な平等というものは、自然にできるものではなく、やはり、そのための仕組みが必要です。私は島根においては、すべての公的な審議会、委員会、研究会などの場においては『一方の性が三〇%を下回ってはいけない』(とりあえず、三〇%ではじめてみます)というクオータ制を導入します。」と記していました。