「ほんなら、乾杯しよか」
私の発声で一気に三人はコップを空にした。
「今日からワシら兄弟分や」
気を良くした進がビールをそれぞれのグラスに注ぎながら言うと、浅井が舌打ちした。
「なんや、嫌なんかい浅井の兄さん!」
進は浅井に顔を近づけ上目で睨んだ。
「あたりまえやろ、ボケ。オマエらみたいなションベン臭い学生と兄弟分や言うたら、恥ずかしゅうて表歩けんど」
「ほう、大したもんやのう、こら浅井!」
進はもう酔ったのか、目を据えて浅井に絡んだ。
「まぁ、まぁ、ここでグジャグジャとガキみたいに言うててもしゃあないやんけ。どない見ても俺らは眼糞鼻糞や、ここだけの兄弟でええやないけ」
私のセリフに二人はまた、そろって頷いた。
「しゃあない、布施に戻ってワシの行きつけのスナックで一杯やろか」
勢いづいた浅井がそう言って勘定に立った。