俳句・短歌 短歌 故郷 2022.10.07 歌集「星あかり」より三首 歌集 星あかり 【第125回】 上條 草雨 50代のある日気がついた。目に映るものはどれも故郷を重ねて見ていたことに。 そう思うと途端に心が軽くなり、何ものにも縛られない自由な歌が生まれてきた。 たとえ暮らす土地が東京から中国・無錫へと移り変わり、刻々と過ぎゆく時間に日々追い立てられたとしても、温かい友人と美しい自然への憧憬の気持ちを自由に歌うことは少しも変わらない。 6年間毎日感謝の念を捧げながら、詠み続けた心のスケッチ集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 一円に地平の繋がる大陸に 日が差し昇り眺め果て無し 美しく心惹かれる乙女哉 旅行ガイドの地元の女性 統一の歴史を刻み息衝いて 柳青めく始皇帝陵
小説 『アイアムハウス』 【第8回】 由野 寿和 「助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて!」オンラインゲームの最中に背後から襲われた長男 次に深瀬はパソコンのディスプレイに目をやった。デスクトップパソコンは本体が光っており、画面にはいくつものウィンドウが表示されている。「この画面は犯行当時のままか?」「そのようです」「俺にはわからんが、何の表示だ?」「これはCHAO(チャオ)とかいう、人気のオンラインゲームだそうです。オンライン上でチャットをしながら戦うサバイバルゲームで、世界中でプレイされています。どうやら世界大会も開催されてい…
小説 『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』 【第21回】 行久 彬 二の腕には赤銅色の逞しい筋肉がつき、それが夕日を受けてさらに赤く染まる姿はこの上もなく魅力的だった… 考えてみれば奇妙な関係だった。自分が拾って来たとは言いながら、奈美のことはほとんどわからないままに既に半月近く生活している。それで美紀に何か困ったことがあるかと言えば特段何も無い。むしろ美紀にとって奈美の出現は一人暮らしの寂しさを忘れさせてくれていた。しかし、漁火の客たちのように美紀も奈美がこの地に流れて来たわけに関心が無いわけではなかった。奈美が自分のことを何も話さなくても美紀が生活する上で何…