俳句・短歌 短歌 故郷 2022.08.19 歌集「星あかり」より三首 歌集 星あかり 【第121回】 上條 草雨 50代のある日気がついた。目に映るものはどれも故郷を重ねて見ていたことに。 そう思うと途端に心が軽くなり、何ものにも縛られない自由な歌が生まれてきた。 たとえ暮らす土地が東京から中国・無錫へと移り変わり、刻々と過ぎゆく時間に日々追い立てられたとしても、温かい友人と美しい自然への憧憬の気持ちを自由に歌うことは少しも変わらない。 6年間毎日感謝の念を捧げながら、詠み続けた心のスケッチ集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 二度と無き人生と言う旅をする 愛と希望と幸福乗せて 立秋の夕暮れの紅濃さが増す 恋慕強まり感傷に暮れ おお見事機外カメラに映るのは 着陸間際の上海の家
小説 『春のピエタ』 【第7回】 村田 歩 刑務所で、お袋と13年ぶりに対面…こんなに小さな女だったか―。あの頃、生活が苦しく、いつも歯を食いしばっていたお袋は… 俺たちは婆さんより早く呼ばれた。刑務官に案内されているとき、初めて親父が落ち着かない様子を見せた。首から下は先を行く刑務官に素直に従っているのに、首から上はまるで道を見失ったかのようにあたりをきょろきょろ見回している。勝手が違う、といった顔だ。俺は急に不安になった。悪い想像が浮かぶ。たとえばお袋は急病で、敷地内の医務室のベッドで身動きできなくなっているのではないか。だからいつもの面会室で会うこと…
小説 『ラガーマン ジャッカル翔』 【最終回】 上山 照 「襲われたのは、出張中の日本の商社マン。その人は襲ってきた二人を撃退したらしい。」…それってもしかして、ラガーマンの彼!? リックはロイに「襲われた人はアラブ人と言っているのか?」と尋ねるとロイが「襲われたのは日本の商社マンで出張中に襲われたらしい。犯人は一言もしゃべらず襲って逃げたと言っているようだ! 実は本人が忙しくて未だ直接会って無いのだが……」と話した。リックが「東洋人!」と奇妙な声を出して、「他に何か気になる事は無いのか?」とリックが尋ねると「ホテルのガードマンが言うには、一人は東洋人が投げたナイフで頭を打…