大潮の時に出現する幻の砂浜上陸、“いざり”と言われる島の潮干狩り、珊瑚礁でのシュノーケリングなどだ。

名瀬市内の大浜海岸で遊んだ。手漕ぎのボートを借りて、約1km先にある珊瑚礁を目指して玲子と二人で漕ぎ出した。玲子が前に乗って道をあっちこっちと指示し、私がそれに従って漕ぐ。

海の深さは沖合に出るに従って深くなるのではなく、深いところもあるが、珊瑚礁が隆起して浅くなっているところが多くなる。

そこをかき分けて、深いところを探して先に向かうのだ。やがて珊瑚の密集が多くなり、これ以上ボートで進むことは出来なくなった。仕方なく、突出した珊瑚にボートをつなぎ、珊瑚の上を歩く。

いわゆる『いざり』の気分だ。『いざり』とは珊瑚の上に取り残された生き物を拾って歩くことで、普通は満月の夜に行われる奄美の行事。ここは湾を囲むように珊瑚が発達しリーフを形成している。珊瑚の内と外では海の様相が大きく異なり、珊瑚の外の海で泳ぐことは準備がないと危険だ。話には聞いていたが、この場に来て初めて理解できた。

外海の波音が珊瑚に響き不連続な「ドーンーンドドドドーン」と腹に響く音がして、珊瑚の外の海で潜りたいと言っていた玲子も、「ガイドさんと一緒じゃないと心許ないので、外海で泳ぐのは諦めることにした」と宣言。

内海の深いところを探して潜り出した。

スキンダイビング用のマスクを装着して器用に潜る。深さ3m程度はあると思われるが、苦にしないで潜ってウニ、ヤドカリ、タコなどを取って来て私に見せる。ヤドカリとタコは逃がし、ウニは店から持って来た瓶に入れて持ち帰る予定だ。

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