バット殴打事件 ~校門前で傷害事件!!~
ある日の夕刻、校門前で傷害事件が発生した。それは、近隣の住民を本校生徒がバットで殴打したというものだった。校門前が騒然としているので駆けつけると、中年の男性が頭から血を流し倒れていた。
そしてその傍らには、バットを持った本校生徒とその取り巻き連中が一緒に立っていた。そのバットを持った生徒こそが、つい先ごろ少年院を出所してきたばかりの生徒Aだった。すぐさま救急車を呼び、病院への搬送となった。状況を察知した救急隊員が警察に連絡をしたようで、パトカーも駆けつけ、あたりは騒然となった。
病院の集中治療室(ICU)前で、私は医師から被害者の状況を知らされた。「命に別条はない」とのこと。ほっと胸を撫で下ろすのも束の間、すぐに校長に携帯電話で連絡するが、その日は、あいにく校長会の会合があり、酒席の後のようで、話が十分に伝わらなかった。
並行して、教育委員会にも一報を入れ、事の次第を報告した。学校に戻った時には、すでに午前0時を回っていた。
心配して残っていた教員を帰し、自分は都教委へあげる報告書を作成するため、その日は学校に留まることにした。早朝、報告書をまとめ上げ、校長室のデスクにその書類を置き、出勤したらこれを都教委へ報告していただくようメモを残し、再び病院へ向かった。被害者の親族と面会し、謝罪をした。
今後のことについては、別途、また相談に上がるということで、ひとまずは一段落した。職場に戻り、ひげ面で、血痕の付いたワイシャツのまま通常勤務に服した。
お前のところは“学校の体”を成していない ~ぐうの音も出ず~
こうした一連の不祥事が続く中、ある時、校長が出張から帰ってくるや否や、不機嫌そうにこう漏らした。
「今日、高指課長〈注:教育庁指導部高等学校教育指導課の課長〉からお前のところは“学校の体”を成していない」と言われたと。
私は直接言われたわけではなかったが、校長がそう言っているのを聞いていて、何とも言えぬ、居たたまれない心境になった。そして「その通り」であるが故に、ぐうの音も出ず、こぶしを強く握り締め、歯ぎしりしたのを鮮明に覚えている。