【前回の記事を読む】子どもの教育、国語力が最優先!幼少期に欠かせない習慣とは
第一章 子どもの地頭力を鍛えるためのトヨタ式
絵本作戦について
ただし、気の利いた絵本は一冊千円以上と非常に高額であり、サラリーマンの給与では、ぜいぜい月に二~三冊の購入が限界である。それでは、読書の絶対量が明らかに不足している。そこで、図書館をフル活用すればよい。実は、地方税をしっかり天引きにより前払いしているので、図書館を活用しないと損をする。全国どの地域でも、一度に一人五冊程度は借りられる。子どもに加え、両親・祖父母の図書館カードを作れば、一度にまとめて二十冊以上を借りられる。
毎週末に、ハイキングのようにリュックサックを背負い、あちこち複数の図書館へ足繁く通うことが、父親の恒例の行事となった。毎度、結構な重量になる。
会社から帰宅後、就寝前のフェイドアウトの時間帯に、テレビなどのあらゆる音声を消した静寂のなかで、子どもを膝の上に乗せる。そのうち、積極的にコンタクトを求めて、勝手に乗ってくるようになる。残念ながら、受動的なテレビは、思考回路を停止させてしまう。
スキンシップを図りながら、感情を込めて、ひたすら絵本を読み聞かせる。「もう一回読んで!」と、同じ絵本を三十回くらい連続で読まされることもしばしばであった。正直かなり、しんどかった。何がおもしろいのか摩訶不思議? ではあるが、すさまじい集中力で、空想の世界に無我夢中となって、ゾーンに深く入り込んでいるようだ。
絶対に親の都合によって中断しないで、集中させておく。あくまでも、子どものペースで進めたい。大切なことは、親も童心に返って、思い切り楽しむことである。親子で「ああでもない、こうでもない」と、声を出し合う意見の応酬に意味がある。
また、同じ絵本の繰り返しのなかで脳を活性化させるために、読むスピードを早口言葉のように二倍速・三倍速にすることを意識した。紙芝居の場合は、めくるスピードをどんどん上げた。
さらに、国旗を活用し、フラッシュカードとして、国名当てクイズを高速で実施した。カリブ海の小国であるアンティグア・バーブーダなる国名さえ答えられるようになるのだ。右脳の潜在能力を引き出すことにつながる。
将来、必ず速読術を獲得できる。静かに心穏やかに、親子で他愛もない会話を楽しみながら時間を過ごすことが、肝心要のポイントである。