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居場所
元々、僕と中澤さんはお互いに顔見知りだった。
小学校四年目になればクラブ活動が始まる。
四月になり、その希望調査が取られた。それは第三希望まで書かされるものだった。
僕は第一希望にドッジボールクラブ、第二希望に調理クラブを書いていた。
その二つは特に人気が高かった。特に調理クラブはお菓子などを自分で作り、それを食べられるのだ。僕らにとっては夢のようなクラブで、意外にも男子に人気があった。
そして第三希望に太鼓クラブを書いた。太鼓クラブは行事の時に演奏の花を飾る。それを見るたびに憧れるものの、それ以外はひたすら太鼓の練習を続けるだけだった。
僕が入ることになったのは第三希望に書いた太鼓クラブだった。
当時仲の良かった伊沢君たちは調理クラブで、僕だけが太鼓クラブとなりげんなりした。
太鼓クラブに入って直面した壁は、叩き方をどう覚えていいのか分からないことだった。右、左、右、右……。それはまるでわけの分からない動作の丸暗記だった。そんな捉え方をしてしまっては覚えられるわけがなかった。
同時に入った友達はすぐにコツを覚えて、あっという間に演奏の仲間に入っていた。
僕は取り残され、特別練習を受けた。正直、このクラブの時間は苦痛だった。おまけに特別仲の良い友達もいなく孤立していた。僕は嫌な意味で目立ってしまった。
一方で中澤さんは僕とは対照的で大太鼓を担当していた。大太鼓は最も花のある役で、大勢いる中のたった四人だけがなれる、本当に上手な人しかできないポジションだった。
太鼓クラブに入るほとんどの人はこの大太鼓に憧れて入ってくるのだ。
その上、彼女は持ち前の明るさからみんなの人気者だった。
僕はあまり大太鼓に興味はなかったため、出会い当初の中澤さんのことも全く覚えていない。
ただ言えるのは、本当に遠い存在の人だということだけだ。