調理や味付けにもこだわりを持ち、包丁での切り方かたは食材ごとに変え、味付けの調味料は食材ごとに合ったものを選びました。それもこれも、食材の命に感謝し、できるだけおいしくいただくことが、命いのちをいただくことへの礼れいぎ儀であるということをわきまえていたからです。そして季節外れのものは食べず、旬の新鮮なものを、ごく少量だけ食べていました。
どんなつつましい食事であっても、食べる前には敬虔な気持ちで食材に向き合い、感謝の祈りを捧ささげていました。そして食事中は大声で話すようなことはせず、静かに味わい、お酒も酔払うまで飲むようなことはありませんでした。
日常生活で使うものも、高級なものを買ったり、欲しがったりすることはありませんでした。生活に必要なものを最小限しか持たなかったのです。寝る時なども、枕は使つかわずに、自分の腕を頭の後ろに回して、枕がわりにして寝ているくらいでした。
人をだまして金持ちになって豪華な生活をするよりも、まっとうな人生を送りながら、つつましい生活を心がけることでこそ、心が充実し、健康豊かな人生になるということを心得ていたのです。