終わりの象徴

あらき 恵実
出版社名:幻冬舎メディアコンサルティング
発行年月:2021年8月10日
ISBN 9784344937833 判型 文庫352ページ
価格880円+税
「先生はわけもなく、胸の内が空っぽになったみたいに感じることってありますか?」
母子家庭で育った小学五年生の咲希は、夕日が怖い。夕方になると六歳の時に失踪した父を思い出すからだ。絵画教室の澤田先生は、そんな彼女に胸の内にあるものを描いてみるよう勧める。一方、クラスの人気者・圭太は無口だが美人の咲希のことが気になって仕方がない。夏祭りをきっかけにカップルになった二人。やがて高校生になり、事件は起こる――
目次
  1. 一、少女に憑りつくもの
  2. 二、海、手と手
  3. 三、決壊
  4. 四、五年の月日、闇の中を進む船
  5. 五、儚い夕月
  6. 六、旅の果て
  7. 七、怒りの蓋
  8. 八、喪失
  9. 九、真相
  10. 十、別れのクリスマス
  11. 十一、死と再生

掲載記事

著者詳細

あらき 恵実
1985年2月高知県生まれ。高知県立大学看護学部看護学科卒業。
高知県内の病院で、11年間精神科看護に従事。精神科疾患のある多くの患者と向き合う中で、患者の苦しみを理解するには、今ある症状だけでなく、患者の背景を理解する必要があると実感してきた。精神科疾患の症状や治療について書かれた本は多いけれど、箇条書きにされた症状名を読むだけでは、患者の家族や友人に実感として伝わらないこともあると考えた。患者を支援する人と患者の間に思いのすれ違いがあれば、それは双方にストレスを生む。患者の目線で患者の人生を生きてみて初めて分かる苦しみを、本書を通して伝えたいと思い、執筆した。