入鹿の剣その年の六月、中大兄王子の子を宿した遠智娘は、前年に生まれた大田王女を連れ、父、蘇(そ)我倉(がのくら)山田(やまだの)石川(いしかわ)麻呂(まろ)の屋敷に身を寄せていた。もう二ヶ月になる。今年は梅雨の明けが遅い。空気がじっとりと肌に纏いつくようで、臨月を迎えた身重の体にはこたえる。そんな日の午後、父を訪ねて夫、中大兄王子が大海人王子と数人の客を伴ってやって来た。一人は中臣(なかとみの)…
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