二〇一六年三月五日(土)晴母の待ちわびた兄が、酸っぱいイチゴを持ってやってきた。「これは、ちょっと早かったなぁ……」と、顔をしかめる兄を見て母が愉快そうに笑い、その酸っぱいヤツをヘタごと口へ放り込む。母はいつもそうだ。健康のためと言いつつ、ニンジンの皮もそのまま、ピーマンはおろかカボチャの種までそのまま煮てゴリゴリと食べてしまう。「イチゴのヘタなんか旨いのかい……」と、聞けば、「うん、美味しい…
ノンフィクションの記事一覧
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第34回】残間 昭彦
用事を済ませ部屋に戻ると、兄と母は抱きしめあって泣いていた
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第33回】残間 昭彦
母は次第に顔をゆがませ、電話を突き返しメソメソ…
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第32回】残間 昭彦
香りは桃の如き……高級イチゴ「桃苺」に、はしゃぐ母
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第31回】残間 昭彦
軽口で笑う母をずっと見ていたい…今日の笑顔は満点である
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第30回】残間 昭彦
母は「いつも一緒にいて……」と、繰り返し私に言った
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第29回】残間 昭彦
遠くへ行ってしまう…追い縋り、大声を出して泣きたかった
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第28回】残間 昭彦
「本当のことだけ言って」冗談も解らなくなっていた母
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第27回】残間 昭彦
「でも高いんでしょ?」薬代を気にする母に息子は…
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第26回】残間 昭彦
「お前も口に入れてごらん……」モグモグしながら母は言う
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第25回】残間 昭彦
「根性みせてやる!」母は動かなかったはずの右足首を…
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第24回】残間 昭彦
泣き出した母に「一緒に歌おう」とリードするつもりが…
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第23回】残間 昭彦
恋人未満の関係を脱しないが、私は彼女を待とうと決めていた
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第22回】残間 昭彦
無邪気な笑顔を、いったいいつまで見ることができるだろうか。
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第21回】残間 昭彦
想い出のアルバム…数週間かけて母の半生の写真集を作り上げた
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第20回】残間 昭彦
「歌って楽しいんだね」母は言葉の発声もはっきりと戻ってきた
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第19回】残間 昭彦
飛び抜けて高価な薬品…カード地獄の雪ダルマが大きくなった
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第18回】残間 昭彦
「女学生みたいに可愛くなったよ」娘のように大笑いする二人
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第17回】残間 昭彦
「うちの子も人の子もない、叱る時は叱る」母は剛毅に笑った。
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第16回】残間 昭彦
ただ、それだけの、最後になるかもしれないバースデイ
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エッセイ『ありがとうをもう一度』【第15回】残間 昭彦
新しく産まれ育ってゆく命と、老いて病いを得ていく命の交差点