月と現世の住人が織りなす異色の SF ミステリー
突然の地方赴任、作者不明の詩との出会い、謎めいた美女の出現――。
幾重にも重なる偶然が、必然へと変貌する。
現在と過去、生と死が交錯し、照らしだされる真実とは。
夏も終わりかけた8 月下旬。東京で順調にキャリアを積んでいた佐伯俊夫は、
I 県・月ノ石町に異動を言い渡される。
この地には「月待池」という池があり、赤いトパーズが採れる伝説があった。
しかし、採取した者の不吉な末路から、かつてより「憑き魔血池」と忌諱されてきたのだった。
この伝説を知った佐伯は、事業で計画中の記念碑に何としても赤いトパーズを使用したいという衝動に駆られ、現在は立ち入り禁止となっている「月待池」に向かう。
少しずつ、しかし確実に崩壊していく日常の向こうにあるものは一体――。