奄美大島の名瀬港にむかう七百トンの奄美丸が錨を上げた。光三と総務部の宇都次長、末永秘書課長に加えて、数名の知事随行者を乗せている。光三が美恵子に豪語したとおり、見事な晴天に恵まれた出航になった。光三は多くの島に渡ってきたが、島旅の成否は天候に左右されがちだ。これまで島へ旅したときの天候は、かろうじて自分の八勝七敗の勝ち越しかな。そう振り返りながら、光三は今日の好天がとりわけ嬉しい。この出張では、…
[連載]ケンカ知事、南の島へ
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「飲まずにいられるか!」奄美大島への気持ちのいい旅立ち
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小説『ケンカ知事、南の島へ』【第9回】小池 光一
奄美大島への視察出張…「知事としてなさなければならない使命」とは
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庁内に差す暗い影。新市長が待ち望んでいた奄美視察をためらう理由は…
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小説『ケンカ知事、南の島へ』【第7回】小池 光一
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小説『ケンカ知事、南の島へ』【第6回】小池 光一
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小説『ケンカ知事、南の島へ』【第5回】小池 光一
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小説『ケンカ知事、南の島へ』【第4回】小池 光一
【小説】ついに登庁!新鹿児島県知事、緊張の初仕事の出来は…
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小説『ケンカ知事、南の島へ』【第3回】小池 光一
【小説】次なる任命地・鹿児島の知事は「特別」だと言うワケ
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小説『ケンカ知事、南の島へ』【第2回】小池 光一
出世に高揚する夫だが…思わず慌ててた妻の「予想外の一言」
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小説『ケンカ知事、南の島へ』【新連載】小池 光一
海のかなたの神が信じられてきた南の島…今、現代の神が降臨する!