練習を始めてまもなく、万里絵の体は水に浮き、両の手足をバタバタと動かすとわずかながらも前方に進んでいることに気づいた。「木賊さん、とりあえずは泳げていますね」釣木沢が驚いた声を出した。「そうでしたね」思い出してみると小学生の頃、芽里衣に急かされて通った夏休みのプール開放で誰かに足を引っ張られて、溺れかけたことがあった。その時の恐怖以来、自分は泳げないと思い込んでいただけで、泳げないわけではなかっ…
[連載]わたしのSP
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小説『わたしのSP』【最終回】結李花
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小説『わたしのSP』【第10回】結李花
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小説『わたしのSP』【第5回】結李花
「終戦を迎えて逃げ延びた」…生と死の狭間をリアルに体験した世代の「自分史」
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小説『わたしのSP』【第4回】結李花
「実は、ちょっとお願いが」出版社の女性に警察官の“意外な頼み”
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小説『わたしのSP』【第3回】結李花
電話の相手はBL小説家。わざわざ「かつての担当」を指名する理由は…
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小説『わたしのSP』【第2回】結李花
【小説】万里絵がワイドショーを全部録画するようになった理由
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小説『わたしのSP』【新連載】結李花
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