ランニングマシンはクールダウンのフェーズに入り、徐々に速度を落としている。左沢はフェイスタオルで首筋の汗を拭きながら歩調に合わせて息を整えていった。窓の外には、正面の駅ビルの屋上から顔を出したばかりの十六夜(いざよい)の月が赤みを帯びて輝いている。左沢はマットに移動し全身のストレッチを始めた。ガラス越しに見えるスタジオではエアロビクスのレッスンが始まった。ヘッドセットを装着して鏡を背にして立つ弥…
[連載]団塊へのレクイエム
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小説『団塊へのレクイエム』【最終回】三苫 健太
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小説『団塊へのレクイエム』【第8回】三苫 健太
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小説『団塊へのレクイエム』【第7回】三苫 健太
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小説『団塊へのレクイエム』【第6回】三苫 健太
「おまえ、本当に何も知らないのか」友人の死を悼む最中、少年の脳裏によぎった“疑念”
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小説『団塊へのレクイエム』【第5回】三苫 健太
教室に現れなかった友人…始業式の日に起きたおぞましい事件
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小説『団塊へのレクイエム』【第4回】三苫 健太
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小説『団塊へのレクイエム』【第3回】三苫 健太
心中は計画したもの?「プログラムの完成状況で見当はつく」
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小説『団塊へのレクイエム』【第2回】三苫 健太
【小説】順風満帆の人生に何が…突然女性と心中した男の謎
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小説『団塊へのレクイエム』【新連載】三苫 健太
噂好きの店員が告げた衝撃の一言に「白けた気分が吹っ飛んだ」