高梨とは対面の形で座ったままで、どれほどの間気詰まりな状況をつくりだしていたのかは判らない。ともかく内心の思案を打ち切ることで、やっと我に返った。すると恭子の夫と同じ立ち位置にいるにすぎないのに、相手に情報を提供し、ややもすると教えを垂れなければならないような立場にいる自分の姿は滑稽な道化役ではないかとも思える。意外にも話の相手を置いてけぼりにして、そんな余裕も出てきた。そこで気を取り直し、この…
[連載]ミレニアムの黄昏
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小説『ミレニアムの黄昏』【第35回】生田 仁真
【小説】19年連れ添ったのに…「妻の性格など何も語れない」
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小説『ミレニアムの黄昏』【第34回】生田 仁真
【小説】死後も謎に満ちた彼女…夫にも見せなかった女の素顔
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小説『ミレニアムの黄昏』【第33回】生田 仁真
【小説】恭子の一周忌。彼女の夫と語り合った夜
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小説『ミレニアムの黄昏』【第32回】生田 仁真
妊娠を機に離別するも…「彼女の死」に囚われ続ける男の胸中
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小説『ミレニアムの黄昏』【第31回】生田 仁真
今までは「独りよがりの妄想」?僕を激しく求めてくれない彼女
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小説『ミレニアムの黄昏』【第30回】生田 仁真
【小説】死別した恋人が身籠ったのは夫の子か、自分の子か…
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小説『ミレニアムの黄昏』【第29回】生田 仁真
【小説】快楽を求め、性へ執着する彼女は何を思うのか。
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小説『ミレニアムの黄昏』【第28回】生田 仁真
普通から逸脱した彼女は、人間の肌に触れるのを快楽としていた
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小説『ミレニアムの黄昏』【第27回】生田 仁真
【小説】人間の「性的欲求」と「精神状態」の密接な関係
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小説『ミレニアムの黄昏』【第26回】生田 仁真
【小説】白昼、人妻との秘密の逢瀬…男は快楽へと溺れていった
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小説『ミレニアムの黄昏』【第25回】生田 仁真
【小説】「私ほどの強い愛情で彼に接する人」はもう現れない…
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小説『ミレニアムの黄昏』【第24回】生田 仁真
【小説】死を悼む人々の姿を目の当りにして、僕は感動を覚えた
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小説『ミレニアムの黄昏』【第23回】生田 仁真
【小説】僕は近しい人が亡くなっても、悲しいとは思わない
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小説『ミレニアムの黄昏』【第22回】生田 仁真
【小説】なぜ母は、自らの意思で命を絶ってしまったのか…
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小説『ミレニアムの黄昏』【第21回】生田 仁真
【小説】男には、人には打ち明けられない悩みがあった。
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小説『ミレニアムの黄昏』【第20回】生田 仁真
【小説】母親の死因は結局謎のままだった。
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小説『ミレニアムの黄昏』【第18回】生田 仁真
【小説】懊悩する男の内省「彼女が忘れられない理由は…」
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小説『ミレニアムの黄昏』【第17回】生田 仁真
【小説】男の消えぬ後悔…恋心に気付く前に彼女は世を去った
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小説『ミレニアムの黄昏』【第16回】生田 仁真
【小説】「この人は誰だったかな?」再会したのはまさかの…
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小説『ミレニアムの黄昏』【第15回】生田 仁真
【小説】引っ越しを手伝ったことが機縁に…ある女性との出会い