もう本来の手術は無理であった。血圧と脈拍が僅かにも好転したところで、とりあえず剥がれかかっている網膜に空気を吹きつけるだけの措置を施すことになった。着替えを取りに帰宅すると、電話が鳴り続けている。「八木沢さまでいらっしゃいますか」営業用のものなれた甲高い声であった。「はい、八木沢でございます」「こちらはブティック・モアでございます。いつもお引き立てにあずかりまして有難うございます」「――モアさ…
[連載]となりの男
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小説『となりの男』【最終回】柳谷 郁子
空笑いしている圭二の自嘲が、ふゆ子にずっしりとのしかかる。
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小説『となりの男』【第10回】柳谷 郁子
「おじいちゃんにとっては守り神なのよ、あのお臍」
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小説『となりの男』【第9回】柳谷 郁子
さっきから急に目の前が暗うてな、夕闇の中にいるようや。
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小説『となりの男』【第8回】柳谷 郁子
ニートって、本当はどういう人のことを言うんですか。
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小説『となりの男』【第7回】柳谷 郁子
すでにユタは消え失せたが、「約束」を果たしたいと思っている
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小説『となりの男』【第6回】柳谷 郁子
その時はただ抱きしめていてください。あの時のように。
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小説『となりの男』【第5回】柳谷 郁子
「あの作品を真に解ってくれるのは」男が送った手紙の真相とは
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小説『となりの男』【第4回】柳谷 郁子
間違いを起こさなかった人を、神は人として認めるだろうか。
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小説『となりの男』【第3回】柳谷 郁子
あなたが本当に酔いから醒めたのはその時であった。
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小説『となりの男』【第2回】柳谷 郁子
「とっておきの話があるの、シュールの絵、見たことある?」
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小説『となりの男』【新連載】柳谷 郁子
十年前にも、そのまた十年前にも、私は此処に立っていた。