【前回記事を読む】(そうだ、これは蔦の葉だ)確信を得た玉響は先ほどとは違い何の躊躇いもなく、しかしそれでも慎重にそっと水鏡に両手を浸した気に入らぬ。表情一つ変えることなく、いつもの澄(す)ました表情で私の足元で片膝(ひざ)をつき、主(あるじ)である私の次の言葉を冷静で気長(きなが)に待ち続けるこの男。決してこちらを見ようとはせずに。もう幾年(いくねん)も視線を交わしていない。父である前元首(ドー…
[連載]夜幻水鏡抄
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小説『夜幻水鏡抄』【第4回】堀内 ナオミ
人並み外れた優れた美貌、若いながら完成度の高い精悍に鍛え上げられた肉体、揺るぎのない忠誠心――だが、私は彼のことが……
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小説『夜幻水鏡抄』【第3回】堀内 ナオミ
(そうだ、これは蔦の葉だ)確信を得た玉響は先ほどとは違い何の躊躇いもなく、しかしそれでも慎重にそっと水鏡に両手を浸した
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小説『夜幻水鏡抄』【第2回】堀内 ナオミ
鋭い刃が振り下ろされた――が、徐々に意識が戻ってきて、肉体から離れた場所に浮かんでいる…【第一章黒百合の祭壇】開幕!
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小説『夜幻水鏡抄』【新連載】堀内 ナオミ
水鏡…?――艶やかな水晶の縁取りに両の手のひらをそっと乗せ体重をかけ、おそるおそる水面を覗き込んだ