会は順調に進んだ。スズキ青年の番になりプールに飛び込んだ。堅実さだけが取り柄だった少年が、社会の無関心という壁に立ちはだかれ、性根のひねくれた大人になってしまい、最後は残念な最期を迎えるという気迫のこもった水死体ぶりだった。友人の番になりプールに飛び込むと、英知をたたえはするが社会の理解が得られず、それでも必死に生活にしがみつくも、よこしまな思いを抱いた他者のために引きはがされて惨めな死に方をす…
[連載]箱船へいらっしゃい
-
小説『箱船へいらっしゃい』【第4回】葛西 雄一郎
「この人、本当に死んでいる!」名誉の殉職だ。彼の死体はパイプいすに座った形でロープに縛られ、観衆の見える場所に飾られた。
-
小説『箱船へいらっしゃい』【第3回】葛西 雄一郎
自殺者の水死体を見た。そのあと僕らは市民プールに行って、水死体ごっこを始めた。
-
小説『箱船へいらっしゃい』【第2回】葛西 雄一郎
テレビを消したいだけなのに......放送内容へのクレームをこぼした青年は、「権力」にマークされニュース番組で報道されるハメに。
-
小説『箱船へいらっしゃい』【新連載】葛西 雄一郎
友人派遣所から派遣された友人と見ているテレビはくだらないプロパガンダを流す。スズキ青年は音量を下げようとするが...