「坊ちゃん、大型トラックが走る山道を上ります。かなり埃っぽいので気分が悪くなったら言ってください」出迎えてくれた若い社員はそう言うと、僕を助手席に座らせた。その丁寧な言葉遣いに、(年齢は二十代の後半であろうか。やはり建設現場で働いているだけあって、逞しく日焼けした体躯が作業服の上からも想像できる。)などと勝手に観察し、感心しながら運転席の若い社員を見ていた。何よりも印象に残ったのは終始控えめな礼…
[連載]猫の雨傘と僕のいる場所
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小説『猫の雨傘と僕のいる場所』【第6回】倉澤 兎
近江八万駅から50分。ディーゼル車を走らせると、穏やかな堤をもったロックフィルダムが目に入ってきた。
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小説『猫の雨傘と僕のいる場所』【第5回】倉澤 兎
職場での最初の歓迎会。気になる彼女と互いに共感できる部分が数多くあることを知ることになった。
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小説『猫の雨傘と僕のいる場所』【第4回】倉澤 兎
新人の郵便局員、夏祭りのカラオケ大会に郵便局の代表として出場することに……
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小説『猫の雨傘と僕のいる場所』【第3回】倉澤 兎
郵便局に再就職してから一週間、笑いをこらえ頭を下げることが一日のスタートになっていた....
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小説『猫の雨傘と僕のいる場所』【第2回】倉澤 兎
職場の人間関係(特に女性)に疲れ、四年ほど勤めた会社に辞表を提出した
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小説『猫の雨傘と僕のいる場所』【新連載】倉澤 兎
ショートカットの女子学生の「耳」にハッ! そして唐突にENDロールが流れ…