【前回の記事を読む】喧嘩別れした友人と再会するも…「実は去年夫が亡くなったの」
のぞみの結末
「実はね、光彦さんが浮気をしているみたいなの」
「本当? どうして浮気しているってわかったの? 相手は誰?」
「それがわからないの。ただ、ここのところ会社の帰りの遅い日が続いて。朝帰りだってたびたびあるし、それに急な休日出勤も多くなったの」
「それだけ? だって光彦はもうだいぶ出世したんでしょう? そりゃ接待だって増えて当然だよ」
「でも、最近光彦さんの態度がどうもおかしいの。目が合うと視線をそらせるし。それに夜のほうもずっとご無沙汰だし」
「それは怪しいね。光彦もやっぱり世間の男どもと一緒ってわけか。それならいっそ、こっちも浮気しちゃえばいいじゃない。あたしなら絶対にそうするよ」
「そんなことできないよ」
「そうか。じゃあストレス解消になる趣味でも持てばいいじゃない。カルチャースクールに通うとか。もしかしたらそこで格好いい男と巡り会えるかもしれないよ」
「もう、本気で考えてくれないんだから」
「あたしはいつだって本気よ。それじゃあ、やっぱり浮気調査するしかないわ」
「私もそれは考えたの。でも高いんでしょう?」
「馬鹿ね。もしも浮気しているのがわかれば離婚して慰謝料をたっぷりもらえばいいし、浮気が見つからなければ、それはそれで安心料だと思えばいいじゃない。悩んでばかりいたって何も進まないよ。とにかく行動あるのみ」
「他人事だと思って、簡単に言うけど」
「もう、あっちゃんは優柔不断なんだから。それならば直球勝負よ。光彦に浮気しているのか直接聞いてみたらどう?」
あかねが帰った後、淳美がテーブルを見ると例の手紙は消え失せていた。