俳句・短歌 句集 2022.05.26 句集「八ヶ岳南麓」より三句 句集 八ヶ岳南麓 【第65回】 浅川 健一 八ヶ岳の麓で暮らす医師の、四季折々の俳句集 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 正月の甲州盆地うごきだす 月明の堰をあらはに野焼あと 砂の上に引きたる波紋牡丹の芽
小説 『「本当の自分」殺人事件[注目連載ピックアップ]』 【第10回】 水木 三甫 ホテルの入口、ためらいは一瞬で、後はただ身を任せていれば良かった。夫と同じことをしているだけだ。 【前回の記事を読む】硬直する体に構わず、若い桃のような頬に唇を当てる。首筋からさらに下へ、新鮮な匂い。しがみついていた彼女の腕の力は抜け…光彦から急な出張が入って帰れないという連絡が入った。淳美は光彦があかねと会うことを確信した。光彦のために自分は尽くしてきたつもりだ。それを裏切ったのは光彦だ。あかねの存在も淳美にとっては大きなストレスになっていた。いつもあかねに操られている自分にうんざりしてい…
小説 『バツ恋ロスピックアップ』 【第2回】 高生 椰子 一通のショートメール…45年前の初恋の人からだった。彼は私にとって初めての「男」で、そして、37年前に私を捨てた人だ。 歩んだ人生は違っていたが、想いは同じだった。45年間を埋めるように最後の恋に賭けた二人。終活の中での終恋(しゅうれん)、残された時間は限られている。たとえ何があっても、私たちはこの恋を決して後悔はしない。てつやことり小春日和の午後、私は職場の自室で書類の整理をしていた。外の気温は低いが、西向きのこの部屋は午後の柔らかい日差しが微睡(まどろみ)の時をくれる。その時、一通のショートメールが着信した。…