【前回の記事を読む】どこまでも監視してくる警備員…「いったい何の理由で?」
第三章 渡航先にて
ホテルにて
*気が利きすぎるベルボーイにはご注意
二人して大慌てでタクシーに乗り、荷物を追って空港へ行き、その団体客の乗るであろう飛行機の予定を見たところ、すでに出発しており、私の荷物も積まれてしまったようでした。
そのフライトの行く先はタイのバンコック方面とのことでした。私はその航空会社へ頼み込んで、もしバンコックで持ち主不明のこれこれこのようなスーツ・ケースが出てきたら間違いなく私のものであるからシンガポールへ送り返してほしい旨申し入れ、連絡先を伝えましたが、航空会社曰く、「保障はできない」とのことでした。
そうこうしているうちに私の乗る飛行機の出発時刻になってしまったので、やむを得ずそのまま赴任地へ向けて出発しました。その後、一週間経ち、二週間経ちましたが、何の連絡もなく、着替えなどさして重要な物は入っていないし、まあ諦めるしかないかと思い始めました。
ところが一ヵ月ほど経った頃、バンコックで私のものと思われるスーツ・ケースが保管されているとの連絡を受けました。そして確認するため鍵は壊すことを了解してほしいこと、そして内容物についてわかる範囲でよいので教えてほしいとのことでした。
私は当時、常にスーツ・ケースに入れた物を詳細に記録・保管していたため、すぐに私のものであることが確認され、十日ほどあとにシンガポール経由でインドネシアの片田舎で働いていた私のもとへ鍵が壊されて紐でくくられた、まさしく私のスーツ・ケースが届きました。そして奇跡的に内容物はほとんど無傷でした。
これは本当に幸運で、腐りやすい食べ物などが入っていなかったことも幸いでした。鍵を壊されたスーツ・ケースは、シンガポールのホテルが弁償してくれました。
教訓
ホテルなどで頼みもしないのに「荷物を取りに来ました」とか、「運びましょう」と言われたときは、その人物が正しくホテルの従業員であること、またフライトの予定などが自分の依頼する内容と違わないことを確認してから渡しましょう。
そうしないとチェック・イン後に部屋に行ったら荷物が来ない、あるいはチェック・アウトの際に荷物がないということも実際に起きています。また、自分の荷物のリストを書いておくことは、自分のものであることの証明や、紛失した際の保障請求などに大変役に立ちますので、お勧めします。また、パスポートや現金などの貴重品は身の回りから離さないことも重要です。