【前回の記事を読む】モルディブ共和国に赴任中、大臣から直々の依頼!? 驚きの内容は…

異文化交流

*これも異文化交流? トイレ事情にも

日本から発展途上国へ旅行する場合、ツアー旅行の場合にはまず起こり得ず、個人旅行でも観光地や有名な遺跡訪問などをされる場合にはほとんど起こらないことで、また、異文化交流と言えるかどうかは経験した人により違うと思います。

最近日本ではほとんどと言っても過言ではないほど多くの公共の場所や建物では温水洗浄便座が設置されていますし、古式ゆかしき和式トイレでもトイレットペーパーは備え付けられているでしょう。

しかし途上国の中では、異なるトイレ事情に遭遇することがあります。

これは私がインドネシアのプロジェクトに勤務していたときのことです。

私が担当していた海上土木工事のうち、沖合五百メートルまで構築する二列の防波堤工事では、第一段階として水面下最大二十メートルから約十キログラムの岩石を約十メートル積み上げて山形に成型する工事がありました。私は日本から二名の水中工事の経験豊富な潜水士を呼び寄せ、作業を進めていました。作業状況などは客先からの要望により、ほぼ毎日のように水中写真や水中ビデオで撮影し、報告していました。

ある日、普段と同じく客先の事務所にて打ち合わせしていたとき、タイミングの悪いことに急に腹痛が起こり、急遽客先のトイレに駆け込み、用を足してからほっとして周りを見回したところ、トイレットペーパーが見当たらず、空き缶に一リットルほどの水が入ったものが置いてあるのが目に入りました。

そこで、インドネシアに長く勤めている同僚から聞いた話、すなわちインドネシアでは用足しのあとは水で洗うのが普通であることを思い出し、やむを得ず現地方式に従い、水で洗って済ませましたが、それほど悪い感じは残りませんでした。

教訓

この「水洗式」は私が関わった国の多くで一般的なことでした。また、トイレットペーパーは備えてあるものの、そのトイレがいわゆる吸い込み(自然排水)式だったり、排水管のサイズなどの問題からか、便器内には流さぬよう注意書きとともに使用済みのものを入れるバケツが置いてある場合もあります。

海外赴任や渡航が予定あるいは計画中の人は、その国の、訪問先のトイレ事情を確認しておくことは無駄ではないと思います。

また、業務で都会から離れた村や、人里から離れた場所へ出かける際には、荷物の中にトイレットペーパーを一巻き入れておきましょう。それが思いかけず、大変役立つことがあります。