俳句・短歌 句集 2022.04.27 句集「八ヶ岳南麓」より三句 句集 八ヶ岳南麓 【第60回】 浅川 健一 八ヶ岳の麓で暮らす医師の、四季折々の俳句集 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 睡蓮や音もなく水うごきゐる まどろみてただ蜩のなかにゐる 新薬を開封したる今朝の秋
小説 『約束のアンブレラ』 【第8回】 由野 寿和 3ヶ月前に失踪した女性は死後数日経っていた――いつ殺害され、いつこの場所に遺棄されたのか? 激しい雨が次第に弱まり、木々の葉には美しい雫が溜まり始めている。時刻は午前十時半。応援に駆けつけた静岡県警の捜査員は現場周辺を封鎖し、地形の安全確認を行っていた。大通りは通行止めが実施され、周辺は土砂や流木が散乱し危険な状態だ。鑑識課の捜査員数名が周囲を取り囲み、ブルーシートの包囲線が敷かれていた。静寂の広がる藤山の山中では、静岡県警の現場検証が始まっている。鳥谷は息を大きく吸うと、周囲の匂いを…
小説 『Angel Story もう一つの創世記』 【第4回】 八百原 起也 神だけが口にできる“禁断の果実”――天使ミカエルが見た創世の秘密と、運命を変えたエデンの真実とは? 【前回記事を読む】そのおぞましい身体を美しい女神の姿に変え、地球に降り立った闇の神。「この美しき地球を我が物とする!」やがてラッパが鳴り響くと、心地よく流れていた音楽も止(や)んだ。皆の視線が廊下に向けられた。宮殿を司(つかさど)る女神が現れたのだ。女神が動くたびに長い髪がしなやかに揺れた。天使たちは一瞬にして女神の美しさに心を奪われ、持っていた杯を落とす者、茫然と立ちつくす者もいた。ガブリエル…